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岩元 大樹; 明午 伸一郎; 中野 敬太; Yee-Rendon, B.; 方野 量太; 菅原 隆徳; 西原 健司; 佐々 敏信; 前川 藤夫
JAEA-Research 2021-012, 58 Pages, 2022/01
加速器駆動システム(ADS)の核破砕標的より上部に位置する構造物の放射線遮蔽解析を実施した。解析では、モンテカルロ粒子輸送計算コードPHITS及び誘導放射能解析コードDCHAINPHITSを用い、1サイクルを300日として、熱出力800MW及びビーム出力30MWの1サイクルフル出力運転を仮定した。解析対象の構造物は、標的の真上に設置されたビームダクト、原子炉容器上部に位置するビーム輸送室及びその室内に設置するビーム輸送機器及び遮蔽体並びに天井遮蔽体とした。それぞれの構造物に対する運転中及び運転後の放射線量及び放射能量を評価し、天井遮蔽体の遮蔽構造を求めた。その結果、本検討で求めた遮蔽構造を用いることで、法令で定められる敷地境界における線量限度を十分に下回る等の知見が得られた。さらに本検討の条件では、運転後における標的真上に位置するビーム輸送室内機器付近の実効線量率は10mSv/hを超え、室内機器の保守及び交換では遠隔での作業が必須となることを示した。
甲斐 哲也; 原田 正英; 前川 藤夫; 勅使河原 誠; 今野 力; 池田 裕二郎
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(Suppl.4), p.172 - 175, 2004/03
J-PARC核破砕中性子源では大強度陽子(3GeV,1MW)がビーム窓を通過してTRMA(target-moderator- reflector-assembly)の水銀ターゲットに入射する。TMRA周辺の機器は1次陽子や2次粒子(中性子が主)により高度に放射化される。SS316製のターゲット容器が最も放射化されるが、デカップラー材であるAIC(Ag-In-Cd)合金も高度に放射化される材料である。反射体はベリリウムとアルミ被覆鉄からなり、中性子取出孔はAICで覆われている。またTMRA外側にはSUS316遮蔽が設置される。これら全ての機器は軽水,または重水で冷却されている。本論分では、メンテナンスシナリオ構築と施設設計基準を得るため、NMTC/JAM,MCNP4,DCHAIN-SPを使用してTMRA機器と冷却水の放射化を評価した結果を示す。結果から、遠隔操作メンテナンスの必要性、及び必要遮蔽厚さが示された。例として、反射体集合体に対して、表面線量を1mSv/h以下にするために、厚さ30cmの鉄キャスクが必要であり、キャスクを含めた機器の操作に130トンクレーンが必要となった。反射体のAl被覆鉄をSS316の代替として採用した結果、SS316中のニッケルの放射化を除去することができ、キャスク重量も軽減された。このような結果に基づき、施設の遮蔽壁が設計され、高放射化物のメンテナンスシナリオを構築した。
松田 規宏; 中島 宏; 春日井 好己; 笹本 宣雄*; 金野 正晴*; 北見 俊幸; 市村 隆人; 堀 順一*; 落合 謙太郎; 西谷 健夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(Suppl.4), p.74 - 77, 2004/03
高強度の陽子加速器施設において、トンネル内遮へいコンクリートの放射化することが予想されるため、加速器機器メンテナンス作業時の作業員の線被ばく線量は低減対策をとる必要がある。そこで、大強度陽子加速器施設(J-PARC)では、トンネル内遮へいコンクリート躯体の一部に、石灰石を骨材とする低放射化コンクリートを採用することとし、低放射化コンクリートの性能指標として新たにNa当量を導入した。低放射化コンクリートの有効性を検証するため、低放射化コンクリートと普通コンクリートの粉末試料について、中性子照射実験を原研FNSで行った。J-PARC用に整備した遮へい設計詳細計算コードシステムを用いて計算解析を行い、その結果はファクター2以内の良い一致を示した。また、J-PARCを模擬した体系での検証は、加速器停止後1週間以内のメンテナンス期間において、低放射化コンクリートによる線被ばく線量が普通コンクリートに比べて1/10以下であり、低放射化コンクリートの使用は有効であることが確認された。
甲斐 哲也; 前川 藤夫; 春日井 好己; 仁井田 浩二*; 高田 弘; 明午 伸一郎; 池田 裕二郎
Proceedings of ICANS-XVI, Volume 3, p.1041 - 1049, 2003/07
以下の点に着目して、放射能計算コードシステムDCHAIN-SPの妥当性評価を行った。(1)20MeV以下の放射化断面積ライブラリーFENDL/A-2.0,(2)NMTC/JAMが計算する20MeV以上の高エネルギー粒子による核種生成率,(3)DCHAIN-SPによる高エネルギー粒子が誘起する全エネルギー範囲での核種生成率。42の放射化断面積と22のトリチウム生成断面積を改訂することにより、DCHAIN-SPは14-MeV中性子に対する放射化断面積を、30%以下の精度で求めることができるようになった。軽核の生成率評価の精度を向上させるため、NMTC/JAMにGEMモデルを取り入れた。しかしながら、10MeV10GeV陽子による核種生成率の精度は係数23程度であった。2.83GeVと24GeV陽子入射による厚い水銀ターゲット周辺に置いて試料の放射能の時間変化をDCHAIN-SPコードシステムで解析した計算結果は、係数23程度の範囲で実験と一致した。
甲斐 哲也; 前川 藤夫; 春日井 好己; 小迫 和明*; 高田 弘; 池田 裕二郎
JAERI-Research 2002-005, 65 Pages, 2002/03
14-MeV中性子を用いた積分放射化実験解析を通して、高エネルギー粒子誘導放射能計算コードDCHAIN-SP 2001の信頼性評価を行った。解析を行った実験は、原研FNSのD-T中性子源を用いて行われた(1) 核融合炉材料の崩壊線測定実験,(2) 32種の核融合炉材料に対する崩壊熱測定実験,(3)水銀の積分放射化実験、の3件である。解析の結果、DCHAIN-SP 2001による計算は、(1)(3)の実験値をそれぞれ30%,20%,20%以内で予測することができた。Beteman方程式の解法アルゴリズム,及び20MeV以下の放射化断面積と付属の崩壊データについて適切であるという結論が得られた。
甲斐 哲也; 前川 藤夫; 小迫 和明*; 春日井 好己; 高田 弘; 池田 裕二郎
JAERI-Data/Code 2001-016, 82 Pages, 2001/03
原研/KEKの大強度陽子加速器計画諸施設の誘導放射能にかかわる安全設計計算に資するため、高エネルギー粒子誘導放射能計算コードDCHAIN-SPの高度化を行い、2001年版を作成した。高度化の内容は以下の3点である。(1)核分裂収率データを組み込み、核分裂性物質を取り扱う長寿命放射性廃棄物の核変換のため実験施設設計への応用を可能にした。(2)20MeV以下の放射化断面積データの改訂を行った。特に水銀,鉛,ビスマス,トリチウム生成の断面積について詳細な検討を行った。(3)入出力に関するユーザインタフェイスの強化を行った。また、コードの使用に必要なマニュアル,インストールと実行手順,及びサンプル問題を付録として添付した。
春日井 好己; 高田 弘; 中島 宏; 坂田 英明*; 前川 藤夫; 池田 裕二郎; 川合 將義*; 猪野 隆*; Jerde, E.*; Glasgow, D.*; et al.
JAERI-Conf 2001-002, p.955 - 963, 2001/03
GeV陽子を使ったMW級の強力中性子源の建設が計画されている。そのため、放射線安全解析において、大量の中性子やGeV領域の陽子に伴う放射線場中での誘導放射能の見積もりが必要とされている。その計算コードの精度評価のため、ブルックヘブン国立研究所のAGS加速器を使った核破砕中性子場による誘導放射能に対する積分実験をASTE共同実験の一環として行った。核破砕中性子は、水銀ターゲットに1.6, 12, 24GeVの陽子を入射させることにより発生させた。入射陽子の数は、それぞれの照射に対して、3410個であった。照射した箔は、アルミニウム,チタン,ニッケル,コバルト,イットリウム,ニオブ,インジウム,ツリウム,及びビスマスで、それらをターゲットのビーム入射面から1020cmの位置においた。照射後、その誘導放射能を数時間から数ヶ月のいくつかの冷却時間で測定した。実験結果は、NMTC/JAMと融合したDCHAIN-SPコードによる計算値と比較した。断面積データを含めた計算の妥当性について議論する。
本間 俊充; 松永 武
JAERI-Research 2000-059, 63 Pages, 2001/01
本研究書は、日本原子力研究所で開発した事故影響評価コードOSCAARを国際原子力機関が主催するBIOMASS計画テーマ2イプート線量再構築シナリオに適用した結果を記載したものである。このシナリオはチェルノブイル事故で高汚染したロシアのブリアンスク地域の河川流域と農作地帯におけるCsの汚染を扱ったものである。このシナリオ解析は、OSCAARの長期被曝経路モデルの実測データによる検証及び各評価モデルに関連した不確実さの主たる要因の同定に用いられた。OSCAARの長期被曝経路モデルは、回答を求められた多くの農作物あるいは自然食品中の10年間にわたるCs濃度の再評価に大方成功した。しかしながら、Csの土壌下方への移行のモデル化は依然として十分ではなく、長期の食物汚染の予測には、植物が利用可能な形態の土壌セシウムの時間変化を予測するより詳細なモデルが必要である。
高田 弘; 小迫 和明*
JAERI-Data/Code 99-008, 87 Pages, 1999/03
核破砕核種の崩壊特性を計算するために、核種の崩壊生成解析コードDCHAIN2について、放射性核種に関する崩壊データを改訂するとともに中性子反応断面積データを加えてDCHAIN-SPコードを開発した。崩壊データはEAF3.1,FENDL/D-1及びENSDFデータライブラリから新規に作成した。FENDL/A-2データライブラリから引用した中性子反応断面積も用意し、生成点における中性子場による核種の核変換を考慮する。本コードは、あらゆる崩壊系列における核種の崩壊生成をBeteman法で解き、核種の蓄積量、誘導放射能、,及び線の放出による崩壊熱、さらには線エネルギースペクトル等を計算する。ここで、高エネルギー核子中間子輸送コードによって評価された核種生成率が入力データとされる。本レポートではDCHAIN-SPコードの使用法を説明する。
成合 英樹*; 杉山 憲一郎*; 片岡 勲*; 三島 嘉一郎*; 菊地 義弘*; 門出 政則*; 杉本 純; 山野 憲洋; 日高 昭秀; 長坂 秀雄*; et al.
日本原子力学会誌, 39(9), p.739 - 752, 1997/00
被引用回数:1 パーセンタイル:10.53(Nuclear Science & Technology)シビアアクシデント時の熱流動は、冷却材喪失事故(LOCA)などに見られる蒸気・水二相流現象に比べ、炉心の大幅な損傷や溶融が伴うことから、溶融炉心と冷却材の相互作用、溶融炉心とコンクリートの反応、水蒸気雰囲気中での核分裂生成物(FP,Fission Product)ガスやエアロゾル、可燃性ガス(水素)の一次系や格納容器内での挙動など、一般に多成分・多相流が関与するとともに、現象として極めて複雑・多様であることに大きな特徴がある。本稿では、重要なシビアアクシデント過程、及び主要な熱流動挙動について概説するとともに、圧力容器内の蒸気爆発、格納容器内の蒸気爆発、エアロゾル挙動、及び解析コードについて、熱流動の観点から詳述している。
梶本 光廣*; 村松 健; 中坪 清一郎*; 坂本 亨*
ANS Proc. of the 1992 National Heat Transfer Conf., p.386 - 400, 1993/00
軽水炉の確率論的安全評価(PSA)を行う際に、格納容器直接加熱(DCH)は、ソースタームの不確実さの幅を大きくする要因である。本報では、BWRのMark-II格納容器を対象にして、DCHが生じた時の格納容器内の圧力挙動を検討した。DCH現象を解析するために、格納容器を複数のボリュームに分割し、各ボリューム内での質量移動・熱伝達とボリューム間の質量・エネルギ輸送の方程式を構築した。同モデルを用いて全交流電源喪失事故のシナリオによるDCH現象を解析し、デブリ粒子の大きさ、デブリ粒子の浮遊割合、雰囲気中の水蒸気量、デブリ粒子の噴出率、圧力抑制プール中での非凝縮性ガスの熱伝達効率、デブリ粒子の初期温度を変化させて、格納容器内の圧力挙動への影響を調べた。その結果、雰囲気中の水蒸気量とデブリ粒子の大きさが重要なパラメータであり、圧力抑制プールはDCHの際の圧力低下に効果的であった。
外川 織彦
Journal of Nuclear Science and Technology, 27(4), p.360 - 374, 1990/04
原子力施設の平常運転時に大気へ放出される放射性核種によってもたらされる公衆の被曝線量を算出するための計算コードTERFOC-Nを開発した。本コードは、食物摂取及び呼吸による内部被曝、空気中の核種及び地表に沈着した核種からの直接線による外部被曝という4つの被曝経路からの個人線量の最大値及び集団線量を計算する。このうち、食物連鎖モデルは米国原子力規制委員会規制指針1.109のモデルを基礎とし、軽水炉以外の原子力施設に起因する被曝線量もより現実的に評価することができるように改良・拡張した。本報告では採用したモデルを記述し、本コードを使用した計算例を示す。感度解析の結果から食物摂取による被曝線量に敏感なパラメータが同定された。また、本コードで改良・拡張したモデルの中で被曝線量に大きな影響を及ぼすモデルが確認された。
外川 織彦
JAERI-M 89-145, 93 Pages, 1989/10
原子力施設の平常運転時に大気へ放出される放射性核種によってもたらせる公衆の被曝線量を算出するための計算コードTERFOC-Nを開発した。本コードは、食物摂取及び呼吸による内部被曝、空気中の核種及び地表に沈着した核種からの直接線による外部被曝という4つの被曝経路からの個人線量の最大値及び集団線量を計算する。このうち、食物連鎖モデルは米国原子力規制委員会規制指針1.109のモデルを基礎とし、軽水炉以外の原子力施設に起因する線量もより現実的に評価することができるように改良・拡張した。本報告書では、使用したモデルと計算コードについて記述し、本コードを使用した計算例を示す。
宇賀 丈雄
日本機械学会論文集,A, 44(N0.379), p.816 - 824, 1978/00
熱応力ラチェットによる変形挙動について部材の熱応力分布の効果を解明するため、3本棒試験体の高温部材と低温部材の面積比を変えた試験を行った。また部材のひずみ硬化性、熱応力負荷時の降状強さの低下を考慮したひずみ生長に関する理論式を導びいた。実験および理論解の結果から高温部材に対する低温部材の面積比が1の時、ひずみ生長は最大となり1から離れるに従がい変形量の低下することを明らかにした。
松田 規宏
no journal, ,
加速器の運転に伴って生成される放射化物を評価するため、高エネルギー粒子誘導放射能計算コードDCHAIN-SP 2001を用いた放射能の評価に係る粒子・重イオン輸送計算コードPHITSの機能開発を行い、コードの利便性の向上に努めている。本発表では、放射化計算コードとの接続計算を行うためのタリーの開発、及び放射化物による放射線場における作業員の被ばく評価のために用いる線源設定機能の開発の概要について報告する。
橋本 慎太郎; 永井 泰樹*
no journal, ,
加速器中性子を利用したRIの製造法に関する研究において、ビーム照射によるRI生成量とその時間経過を計算可能な粒子輸送計算コードPHITSと誘導放射能計算コードDCHAINは強力なツールである。我々はこれらの組み合わせ計算において信頼性が不十分だった20MeV以上の中性子によるRI生成量の計算方法を高度化した。従来20MeV以上の中性子によるRI生成は核反応モデルによって計算しており、幾つかのRIに関して実験値との一致が十分ではなかった。そこで、20MeV以上の評価済み核データを参照ファイルとして用意し、組み合わせ計算において自動的に使用する機能を開発することで、20MeV以上の中性子が寄与するRI生成についても信頼性を向上させた。本発表では、本手法の有効性を示すために、40MeV重陽子とBeの反応により生成される中性子をZnサンプルに照射した計算を紹介する。例えば、核反応モデルによって計算したZn(n,n+p)Cuの断面積は過大評価となり、Znサンプルに中性子を照射した場合のCu生成量も実験値を再現しない。一方、評価済み核データを使用した生成量は実験値を再現しており、本手法が有効であることがわかった。
前川 藤夫; 中野 敬太; 佐々 敏信; 大林 寛生; 武井 早憲; 宮原 信哉*; 有田 裕二*
no journal, ,
スイス・ポールシェラー研究所で実施された鉛ビスマス共晶(LBE)合金の核破砕ターゲットに575-MeV陽子ビームを入射したMEGAPIE実験で、LBE中に生成した核破砕生成物の量をPHITSコードで評価した。
原田 正英; 山口 雄司; 橋本 典道*; 伊藤 卓*; 田島 考浩*; 奥 隆之; 羽賀 勝洋; 池田 浩*; 田村 智志*
no journal, ,
J-PARC物質・生命科学実験施設では、3GeV、1MWの陽子ビームを炭素標的や水銀標的に当てることで、ミュオンや中性子を生成している。生成されたミュオンや中性子は、それぞれの実験装置に供給され、物質科学や生命科学を中心に、様々な研究に活用されている。一方で、中性子やミュオンが試料に照射されることにより、試料中や試料ホルダーなどで、放射性物質が生成されるために、施設の安定的な運転管理のためには、生成される放射性物質の種類と放射能を推定するコードが必要であった。そこで、DCHAIN-SP-2001コードのデータを利用し、試料放射化計算コードを開発した。実験装置毎に照射条件を選択し、各試料の情報を入れることで、遮蔽計算で用いている中性子束データに、試料の組成毎の放射化断面積を掛け合わせて、放射化量を算出可能とした。本コードは、JAVAをベースに書かれ、Web上でアクセスでき、各クライアントに負荷をかけないよう、サーブレットとして稼働し、センター内のネットワークから利用可能である。また実測モードを有しており、実測ベースの中性子束を導入することで、実際に近い放射化計算が実現できる。また、計算結果をPDFで出力することもできる。今後、様々な物質の放射化実験を行い、本試料放射化計算コードとの比較を行う。